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◆第7章:ベトナム・ホーチミンシティのスパ(1)





すったもんだの末、私が、ホテルに着いたのは、朝6時20分頃。
小さめのホテルだけど、赤い帽子をかぶったドアマンがキチンと扉を開けてくれるきらびやかなホテルだった。
中に入ると、大きめのカウンターに、男性二人が立っている。

私は、チェックインの時間まで荷物を預かってもらうつもりでいたので、話す英語を考えながら、カウンターの前に立って、バッグからプリントアウトしておいたブッキングバウチャー(宿泊予約内容の詳細を記したもの)を取り出した。

で、英語が浮かばずに焦って最初に出たセリフがこれ。
「えーと、えーと、とりあえずこれ。」

優しいホテルマンの男性は、予約をチェックすると、全てを理解してくれた。さすがプロ。
私のボストンバッグに、荷物預かりの札を付けてくれて、控えを渡してくれた。
何か、英語で話しかけられたけど、聞き取れなくて、「え?え?」って何度かやってると、隣の男性ホテルマンが、「もういいよ、いいよ。」と話しかけたほうのホテルマンを制止していた。

荷物が見えるところで保管されているのを確認して、私はロビーの大きな椅子に座って、大きく後ろに倒れ込んだ。

はぁぁぁぁー、疲れたー・・・。神経使って超疲れたー・・・。

しばらく、何も考えたくない、ただボーっとさせてくれー、と懇願していた。
でも、この後は、エステの予約をしている。
はっ!とフロントの時計を見た。
世界中の時刻に合わせた丸いアナログ時計が6個くらい壁にかかっていた。
ベトナム時間の時計を探して、時刻を確認する。6時30分。
はー、良かった。まだまだ時間ある。エステのお迎えは9時だもん。

アナログ時計は、時間が分かりやすくて好き。
私はデジタルの時計の数字を見たら、頭の中でアナログ時計に変換してから時刻を認識する癖を付けている。特に24時間表示のデジタル時計とかホント分かりにくい。

しばらくは、ボーっと出来るな、と思って本当にボーっとしていた。微動だにせずに。
30分くらい。はたから見たら大丈夫か?ってなくらいだったと思う。
あ、だからか!まだチェックインしていないのに、ウェルカムドリンクを出してくれた。
スイカのジュース。甘くて美味しい!ここのところずっと食欲無くて固形物をあまり食べられていなかったけど、飲み物だったらウェルカム。

スイカジュース

美味しいスイカジュースを飲んでご機嫌になった私は写真を撮った。(だから飲みかけの写真しかない)

そうだ、子どもたちに写真を送ってあげよう。
子供は「果物」が大好き。風景とか人の写真とか送っても、未就学児には、何なのかわからないもんね。
そう考えると仮面ライダー鎧武って果物モチーフだから、あれ、ターゲットは未就学児なのかな。

とにかく、旅行前に主人が長男のLINEアカウントを作ってくれていたので、そこに送ろうとスマホを開いた。Wi-Fiよーし。送れるね。

「スイカのジュースをもらったよ」
と写真と一緒にメッセージを送った。ひらがなとカタカナは読める長男6歳。
また次に果物や果物の何かがあったら送ってあげようと思った。

Wi-Fiのポーチを出したついでに、主人に、LINEで通話が出来るかデータ容量を確認してみた。動画通話だとえらい容量を使ってしまうらしく、オススメしないとウェブに書いてあったから。
普通の通話は大丈夫なのか?と、容量目安が書いてある紙を見た。うんたぶん大丈夫。
明日の夜はKonamiさんと会うし、バンコク行ったら電話出来るか分からないから、今日しか電話するチャンス無いかもとは伝えてあった。

主人だけが、現在、頭フワフワで思考能力0の私を、律してくれるかも知れないという一抹の望みを託して。

プルルルルルー、プルルルルー。
出ない。なーんだ。出掛けちゃったかなー。ま、いいや。とりあえずコンタクトレンズつけてこよっと。
で、預かってもらってるボストンバッグからコンタクトレンズを出して、お手洗いに行って付けて、メガネをボストンバッグに戻して、またさっきのソファーに戻ったところで、LINEに返事が来てるのに気付いた。

「電話くれたー?」

あぁー、もう超愛してる!と思った。旅の不安や疲れにかられている時って、信頼している人の優しさや、繋がりが本当にありがたく感じる。
すぐにLINEで電話した。

プルルルルルー、プルルルルー、プル・・
主人「もしもーし」
私「ハイ、ハニー、私よー、愛ちゃんよーぅ。」(←普段はこんな人ではない)
主人「おぉぉー、愛ちゃん、おつかれー。」
私「もー、ちょー疲れたよー。ホントちょー疲れたー!!!」
主人「アハハハ、お疲れ様でした。」

私はタクシーの件を話そうと思ったけど、長くなるのでやめた。
帰ってからネタにしてやる、と思って。

とりあえず、子どもたちがどうしてるか、とか、どこに出掛けたかとか、主人の話を聞いた。でもやっぱり頭ポワポワのままだったから、話が心にストンと落ちてこない。なんというか現実味が無いのだ。
とにかく、ウチの主人と父親に任せていれば絶対に安心なので、ここはホントにしばらくお願いする気持ちで、最後に、

「本当にありがとう。よろしくお願いします。」

と言って、通話を切った。
家族って。家族って本当にありがたい。何も言わずに受け止めてくれる。
私、こんな頭のままで本当にごめんなさい。ちゃんと治して帰ってくるから。
そう思って、ロビーの椅子に座り直した。

その後、スマホのWi-Fiを機内モードにしておかないと、海外ローミングされてバカ高い通信料が取られるというのを思い出した。
そこで、機内モードにすると、なぜかWi-Fiが繋がらなくなり、焦って主人にLINEで連絡した。ウチの主人はシステム開発やってるプログラマー。ネットワークの事ならだいたい分かるので、頼りにしている。
私は、ネットワークがまったく理解出来ない。何度説明されても分からない。
とにかく、モバイルショップで「機内モードにしておけばいいですよ。」と言われた事を忠実に守ろうとしていた。

主人の助けもあり、ようやくスマホを「機内モードだけどWi-Fiに繋がる」という状態に出来た。
ホント頼りになる。大好き。

時刻は8時。あと1時間くらいあるな、と思った私は、スマホを開いた。SNSでも見ようかしら、と思って、あ、と止まった。
9月に機種変更をした時に、必要なアプリだけをインストールしようと決めたから、SNSのアプリが入って無かったんだ。メッセンジャーしか入れていなかった。
しょうがない、時間潰しに、買い物にでも出掛けるか、と思い、フロントに行った。

「えーと、Where can I buy the water?」(私はどこで水を買えますか?)

フロントは美しい女性に変わっていた。
女性は、英語で、

「ホテル中のあちらのレストランにもありますし、外のお店でも買えます。外のお店は出て左に曲がってもう一度左に曲がった先に・・・どうのこうのどうのこうの」

うーんと、

「Go to out side,and turn left,and turn left?」(出て左行って左?)
「Yes.」

あー、たぶんこんな頭ポヤポヤだから、間違えるかも知れない。いや出て左行って左くらいは分かるけど、お店が無かった時にパニクりそう。そもそも、大きい単位のお札ばかりだから、お店でお釣りが計算できなかったら騙されるかも知れない。
そう思った私は、

「Thank you. But I’ll go to there…」(ありがとう、でもそっちに行くわー・・・)

と、レストランのほうを指差した。

フフフッ、と2人の美人がフロントで同時に微笑み、私は恥ずかしそうに笑ってレストランへ行った。
レストランの女性に、冷蔵庫から渡した水を差し出し、50万ドン札を出した。とりあえず崩しておかないと。
すると、お釣りの用意に時間がかかっていた。ごめん、私が頭ポンポコリンなばっかりに。
お釣りを受け取ったが、大量のお札。もう、数えらんないわ。あなたキレイだし騙すような顔してないもの。信じるわ。
そう思って、お札をポーチにしまい込み、またロビーのソファに戻った。

もぅ、なんで私、こんな頭フワッフワのバカになっちゃったんだろう。まさかこれが恋のパワーなの??いやいやいや、だからバンコクの彼は私の事は好きじゃないんだってば。私も何も期待してないんだってば。いやそれは嘘か。イヤイヤイヤ、さっき主人の事超助かるホント大好きって思ったばっかりじゃないの。何を期待してるのよ、私は。

アホな自問自答を繰り返している間に、8時45分頃、向かい側に、一人の美人が座った。

ベトナム人なのかな。何かの制服のような格好で、ネームプレートを付けている。
キレイなストレートのボブカットで、丁寧にメイクされた目鼻立ちのクッキリした、少し気の強そうな顔立ち。
スタイルが良くて、腕も足もスラっと長くて細い。細すぎる程に細い。
あー、私なんか逆立ちしても、こんな美人になれないんだよねー、いいなー、うらやましー、なんて思っていた。
しかし、なんでエステの従業員のような格好の人がホテルのロビーの椅子に座っとんじゃ、と不思議だった。

時計を見て、8時55分。
そろそろ、予約したエステの9時のお迎えが来る頃なので、たばこを吸いに入り口を出た。たばこをゆっくりと吸い終わって、戻ってきて時計を見ると、ちょうど9時ジャストだった。
エステのお迎えはまだだな、私の事、分かるのかな、と思いながら、さっきの美人の隣に座る。
えーと、お迎えホントに9時だったかな?とバッグの中から、エステを予約した時の予約完了メールのプリントアウトを取り出した。
えーと、時間どこに書いてあったかな・・・と見ていたその時、隣から、

「オー、アイ モリカワ?」

と話しかけられた。

「イエース、アイム、アイ モリカワ。」

と返事をすると、あとは英語混じりの日本語になった。
要するに、すみません、気づきませんでー、という話。
私も、こちらこそ、ネームプレートのお店の名前をちゃんと見せてもらえば良かったですよね、すみません、と話をした。
そして、びっくりしたのが、

「あなた、日本人みたいに見えなかったので、分かりませんでした。」

と言われた。え?私、めっちゃ普通のどこにでもいる日本人顔だと思うんですけど。違うの?しかもエステ行くからってノーメイクですよ。まんま素の日本人じゃないですか。

まぁ、サングラスとか付けたり外したりしていたからかな、と思って、一緒にホテルを出てタクシーに乗った。日本人ってあんまりサングラスしないもんね。

私は、外に出る時はいつもサングラスを付ける。紫外線は目からも入ってきて日焼けするから。肌の弱い私は、市販の日焼け止めが使えないから、お化粧は、軽い紫外線防止効果のあるパウダーだけにしてるので、日焼け防止の為だ。だから日中は、デートの時以外は、たばこを吸うだけででも、外では、ほぼサングラスしてるんだ。

エステが終わった後は近所を散策しようと思っていたので、タクシーの中で、お迎えに来た彼女に、街中で見えるものを、色々訪ねた。
この公園の名前は分かりますか?後で行ってみようと思います、とか、あのかわいい建物は小学校ですか?あ、保育園なんですね、とか。
保育園と言われたので、「私、子供3人居るんですー、みんな保育園よ。6歳、2歳、1歳ねー。」と言ったが、すごく驚いた顔をされた。なんで?子供置いて旅行来てるなんて非常識なのかな・・・。
それから、あんまり喋ってくれなくなったので、何か気を悪くしたのだろうか・・・。

そういえば、朝、三角の帽子をかぶって棒を横向きに背負い、その棒の先にバケツのような何か入れ物をぶら下げている女性を見た。あれは何が入っているのですか?と聞いたけど分かりません、知りません、と言われたなぁ。地元なのになんで知らないんだろう。古いベトナムの写真といえば、みんなあのスタイルだと思っていたんだけど。
これも、何か、言いたくないような事聞いてるのかな?本当に知らなかっただけ?

ともあれ、エステの建物に着いた。


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プロフィール

森川愛(あいぷり)

Author:森川愛(あいぷり)
2000年にデビューした作詞作曲家、歌手です。
現在は小説を執筆中です。(映画化する為に奔走中です)
得意な事は、歌、司会、前世占い、
ライティング、インターネット通販、アフィリエイト広告コンサル、会社経営、
周りを元気にする事など。

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